テーマ:ショートショート

優羽カヲリ@世界忍者国様からのご依頼のSS

 ある程度長く生きてきて、普通の人生ではなかなかあじわうことのできない経験をそれなりに過ごしてきた自分だが、その記憶から照らし合わせてみても、彼女との出会いは数奇な運命、としか言いようのないものだと思う。  朽ちゆく『廃園』で出会った彼女。世界から隔絶された場所で生きていたせいかどこか浮世離れしたところもあり、それでいてごく普通の可愛…
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花陵ふみ@詩歌藩国様からのご依頼のSS

 貴方はとても感情が豊かで心優しい人だと、昔言われたことがある。その時はわりと鼻白んだし、正直決めつけるような台詞に怒りも覚えた。  自分が優しい人間だと思ったことなど一度もない。感情は人並みには備えているだろうが、組織を率いるものとして常にそれは抑制するように努めてきた。  それを、自分だけは理解していると言いたげに微笑まれて、い…
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矢上ミサ@鍋の国様からのご依頼のSS-7

 ソファにどさりと腰を落として、それだけでもまだ足りずに背もたれにぐったりと身を沈め、総一郎は疲れきった表情のまま乱れた前髪をかき上げた。きっちり締めていた胸元を乱暴な手つきでくつろがせ、深く息を吐く。  うっすらと開いた目に映るのは、薄暗い天井の格子だった。ぼおっとした力のこもらない目でしばしそれを眺め、総一郎は一度頭を振った。 …
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瀬戸口まつり@宰相府藩国様からのご依頼SS

 彼は孤独な鬼だった。  かつて崇拝と愛情の全てをささげた相手は彼の前を去って久しく、その後に彼の前に現れた運命は、全てを覆い尽くした漆黒の闇でしかなかった。  それからは、彼女と再び巡り逢うことのみを心の糧とし、全てを敵と思って生きてきた。かつては敵だったものも味方だったものも諸共に、彼女を消滅せしめたという意味では同義だったから…
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来須・A・鷹臣@るしにゃん王国様からのご依頼SS

 夢見がちな事ばかりを言う娘だと思ったのだ、最初は。  その口から出てくる言葉はどれもこれもが有史以来使い古され、すでに角が削られ丸くなったものばかりで、一つとして自分の胸に刺さることはなかった。  むしろ印象に残ったのは、そんな言葉たちを吐き出しつつ懸命に自分の目を見上げてくる瞳の方だった。捨て身ともいえる必死さで、体全部でぶつか…
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ヤガミ・ユマ@鍋の国様からのご依頼SS-6

 彼女に合わせた黒のスーツにきつすぎない程度にネクタイを締め、ヤガミは笑みを浮かべつつ彼女に向かって手を差し出す。跳ねるような足取りでその手に飛びついてきたヒサが、ふと長い髪を揺らすようにして彼を見上げる。 「さっき娘あつかいされたー…」  先ほど謁見した皇帝が口にしたことが、やはり心に引っかかっているらしい。とはいえ、不服そうに僅…
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ゆり花@akiharu国様よりご依頼のSS

 最初にその話を持ちかけられたときに、激しく興味をそそられたのだ。  「兄候補を探している少女がいる」、そんな提示に、興味を持たずにいられようか。  言うまでもなく、兄弟という関係はなろうと望んでなれるものではない。また、なりたくないと願ったからとてなくすことなど出来ない。その媒介は肉体を作り上げる血肉であり、意味するところは同じ遺…
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ヤガミ・ユマ@鍋の国様からのご依頼SS-5

『結婚でもするか?』  それは本当に本当に、いつもの自分の迂闊な癖が出た瞬間だと、口にしたその時は思ったのだ。泣きじゃくる彼女はただただ可愛くて、腕に抱きしめているだけで眩暈がしそうなくらい幸せで。ひどい男だと後でいくらなじられてもいいと、そう思った。かつてないくらいに強い、この酩酊感。  喉をふわりとくぐり抜けたその言葉に、ヒサは…
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矢上ミサ@鍋の国様からのご依頼のSS-6

 破いた向こうに表れた数字を見て、総一郎は手を止めた。届けられたメッセージの妙な力の入りようを、咄嗟に納得してしまう。  来月は2月。月半ばに控えているのは、天下御免の恋する者たちの決戦日だ。チョコレートという名の銃弾がターゲットの心臓を仕留めようと飛び交い、そこから醸し出される甘やかな空気は部外者をも被弾させずにはおかず、リア充爆発…
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ヤガミ・ユマ@鍋の国様からのご依頼SS-4

 とりあえず、届いた手紙に書かれていた内容を二度見してしまったのは致し方のないことだと思う。よほど、仲介先になにかのミスではないのかと問い合わせをしようかと思ったのだ。  だが、それがあっていると聞かされた場合のダメージは、ちょっと自分でも予想のつかないものになりそうで、そう考えるとなかなか踏ん切りがつかなかった。同じような理由で、彼…
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やひろ@宰相府藩国様からのご依頼SS

 誰かに言われたわけではなかった。明確にそうだと、雷でも落ちてくるような衝撃で悟ったわけでもなかった。  ただ、生まれてから今まで生きてきた日々の中で、日ごと夜ごと、ぼんやりとではあるけれど決して消えることのない思いが、いつの間にか心の底に降り積もっていったのかもしれない。ぼんやりとしたその思いはだからこそうまく掴み取れぬまま、ある日…
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月光ほろほろ@満天星藩国様からのご依頼SS-4

 手配された新居は、狭いながらも木の香りがまだ新しい綺麗な家屋だった。そこに身を落ち着けてすぐ、陽子の日課は掃除になった。  彼女の婚約者はこの世界の住人ではない。なるべく機会を見つけて訪れるように努めてくれているのは判っていたから、彼がいつ訪れても快適に過ごせるように、そんな思いで彼女は新居を清めるのだった。  新居にはこじんまり…
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日向美弥@紅葉国さまからのご依頼のSS

 待ち合わせの時間より早く着いて周辺の安全確認をしてしまうのは、一種の職業病だ。だがそれをいつもよりも念入りにやってしまうのは、やはり相手が彼女の時に限られている気がする。  キノウツンの街は物々しい空気に包まれていて、人々の表情も険しいものが多い。その様子は若干の息苦しさを感じさせるが、それでも今この時、自国の領土が踏み荒らされてい…
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矢上ミサ@鍋の国様からのご依頼のSS-5

「ありがとう、じゃあちょっと行ってくるね」  そういって、ミサは猫一郎に顔を寄せた。 「王猫さまー、ちょっと待っててくださいねー」  閉じていた目をちょっと眠たげに薄く開き、猫一郎はぴるぴると片耳を震わせた。どうやらそれが、行ってらっしゃいの挨拶らしい。蕩けそうな笑顔になって、ミサは一度きゅっと猫一郎を抱きしめ、それから名残惜し…
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ミーア@愛鳴之藩国様からのご依頼のSS-2

 大きなお腹を抱えるようにしてよちよち歩く妻の姿を、バルクは座ったまま見守る。今でも、内心のはらはら具合は最初の頃とさほど変わっていないと思う。この家を訪れる見舞客、とくに女性たちに笑われたり諭されたりしたお陰で、行動には出さないようになっただけで。  最初の頃、彼女の悪阻がひどかった頃には、それこそベッドに縛り付けるような生活を送ら…
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矢上ミサ@鍋の国様からのご依頼のSS-4

 カシカシというあるかなきかの音に、総一郎は進みかけた足を止めて振り返った。背後に停まっている車の窓を、猫一郎が身を伸び上がらせてひっかいているのだ。自分一匹だけが車に残されるのが、どうしても納得がいかないらしい。 「総一郎……?」  すでに玄関をくぐりかけていたミサに振り返りざま名を呼ばれ、総一郎は一瞬逡巡してからほんのわずか唇を…
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和子@リワマヒ国様からのご依頼SS-2

 なにかを探すようだった戸惑いがちの足音は、一度立ち止まったあとすぐに地を叩く疾走のリズムへと変わった。目を閉じたまま、クリサリスはそのリズムに耳を澄ます。  そんな風に走らなくとも自分は逃げやしないし、なにも変わらない……と、言ったところで、彼女が変わるとは当然思ってもいない。だからただ、近づいてくる足音を聞く。 「クリサリス………
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八守時緒@鍋の国様からのご依頼SS

 砂の上に描かれた文様は、波風に晒されながらわずかに崩れることもなく、ただそこに在った。傍目には粘土の固まりにしか見えないだろう爆弾に信管を取り付けて砂に埋め、創一朗は防波堤の上に立っている時緒の元まで戻る。 「爆弾どうするの?」  潮風に乱される髪を手で押さえながら、時緒は創一朗を見上げてきた。頑是無い子供のようなさまに口元がほこ…
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ミーア@愛鳴之藩国様からのご依頼のSS

 バルク・O・クレーエ、黒にして黒曜。彼は、誉れある二つの名を持つ偉大な魔法使いである。  かつて彼は同胞である黒オーマたちと起居を共にし、敵に対しては刃をもって立ち向かう日々を送っていた。そしてまた、己の知的好奇心の赴くままに世界を探求する求道者でもあった。  彼にとって世界はそれ自体が一個の巨大な叡智であり、その神秘を探求するの…
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月光ほろほろ@たけきの藩国様からのご依頼SS-3

 その報せを受け取ったときから、予感はしていた。  いつも以上に時間を掛けて服を選び念入りに化粧をして、陽子は家を出た。待ち合わせの場所に向かう間、何度も薬指のリングに触れる。それは、この指輪を嵌めてからもうずっと、彼女の癖になった仕草だ。  待ち合わせ場所は、春の園の中にある桜の園だった。夜桜を楽しむ大勢の人たちを少し避けるように…
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松井@FEG様からのご依頼のSS

 入口にかけたプレートは、こちらに営業中の文字が向いている。その僅かな傾きに眉を潜めつつ、総一郎は手と口を使いながら腕に包帯を巻いていた。  怪我の原因は……今となってはまぁ、わりとどうでもよかった。元々総一郎は、自分の興味の趣く先でなければ、けっこう無頓着なところがある。ものであれ人であれ、その範疇から外れた対象に対してはぞんざいに…
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矢上ミサ@鍋の国様からのご依頼のSS-3

 二階の窓から顔を覗かせた相手を見た瞬間の衝撃を、なんと表現すればいいのだろう。息が詰まる、なんていう生やさしい状態ではなかった。体を巡る血が一瞬で沸騰したような、自分自身の姿でさえ保てなくなりそうな程の、衝撃を。  あの姿は、一年前に見ていた。先の読めないひどい戦いのさなか、ぎりぎりと神経をすり減らしながら指揮を続けていた自分の前に…
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和子@リワマヒ国様からのご依頼SS

「アポロニアの精霊戦士よ、死の国へようこそ」  ぎゃあぎゃあとしわがれた声でそう紡いだ相手を、クリサリスは足を止め見返した。荒涼とした大地に相応しい枯木に留まった烏が、見せ付けるようにバサリと羽を広げて見せる。 「それとも、清廉の絢爛舞踏と呼ぶべきかな?」  からかう声音にははっきりとした嘲笑の色があった。つかの間立ち止まって烏を…
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ヤガミ・ユマ@鍋の国様からのご依頼SS

 疑心暗鬼になったってろくな事はない、そんなことは重々承知だ。誰に言われずともよく、判っている。  判っているからなんだというんだ。そんなことでは気持ちは動かせない。  我ながら壊滅的に女々しい思考過ぎて、つくづく自分が嫌になる。  旅行社からの手配連絡に添えられた一言は、ヤガミの行きたいところに連れて行って下さい、だった。たった…
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矢上ミサ@鍋の国様からのご依頼のSS-2

 鍋城の奥深い一室、執務用にと用意されたその部屋で、矢上は一つ息をついて手にしたカップに目を落とした。きぃ、と細い音がして、向けた視線の先、僅かに開いたドアの隙間から王猫の猫一郎が顔を覗かせているのが目に入り、矢上は口元をほころばせてその場に膝をついた。とととっと猫一郎は彼の元まで寄ってきて、せがむようになぁおと鳴いた。柔らかな毛並みに…
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月光ほろほろ@たけきの藩国様からのご依頼SS-2

 雲の上を歩いているよう、というのは、今のような状態を指すのだろうか。ふわふわと頼りなげな自分は、地面の五センチほど上に浮かんでいるみたいだ。  それでいて、この圧倒的な多幸感と万能感はどうだろう。今なら、世界すべてを敵に回しても勝てそうな気がする、いや、きっと勝てる。  ああでも……陽子はそっと手を胸に押し当てて、周り中を微笑まさ…
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矢上ミサ@鍋の国様からのご依頼のSS

 ザル、ワクを飛び越えて、いっそ血液の代わりに酒精が回っているんじゃないかと思えるような人物まで、自分の回りには様々にいた。別に感謝するようなことでもないが、お陰で随分とアルコールには強くなった。  かといって、それほどアルコール自体が好きなわけではなかった。回りの酒豪達につきあわされてほぼ毎日摂取するような時期もあったが、誰もいない…
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ヤガミ・ユマ@鍋の国様からのご依頼SS

  ・IGNITION・  コインを投げ捨てたと聞いて、目の前が真っ暗に塗り潰された。思わず手まで出してしまったのはやり過ぎたったかと、後で反省した。  だが……いや、やはり俺が悪いんだろう。そんなことかけらも思っていないお前を、愛人扱いしようとしたんだからな。非常事態とはいえ、やってはいけないことには違いない。ショックを受けて…
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月光ほろほろ@たけきの藩国様からの、ご依頼SS

『なんでかな。君が笑うと、お日様の側にいるみたいな気持ちになるよ』  それは、私の方。私の方こそデス……。  /*/  旅行社からの連絡を受けてまず彼女がしたことは、クローゼットの中身をぶちまけることだった。  ベッドといわず床といわずありったけ服を広げ、セットしてみては眺め、また別の合わせ方をして並べ、その前にしゃがみ…
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一ヶ月以上間が開いてしまいました。

そして更に続いてます。もう秋になろうとしているのに大変申し訳ない。一応次で終わります。更に一ヶ月後って事にならないようにしたい・・・です、はい。 勘のいい方なら前回でリワ君の正体には気がつかれたかと思います。今回は更に露骨に出してみました。ちなみにサウドさんとモシンさんが像に触れなかったのは、リワ君とは違う理由だったりします。 …
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